体内を巡る消化管は「口-食堂ー胃-小腸ー大腸ー肛門」までの長い一本の管です。元の長さは成人で約9m、口から食道までの約40cmは横隔膜の上にあり、胃ー小腸ー大腸は腹腔内に収まっています。消化管内に適応しながら消化管壁面にびっしりと覆うように定着して生息している細菌を「腸内細菌」と呼び、集まった叢の状態を「腸内細菌叢(腸内フローラ)」と呼びます。
有益菌の種類と働き
【種類】
ビフィズス菌が中心であり、腸球菌・乳酸菌などの乳酸桿菌が主
【働き】
1.有機酸の産生により腸管内のpHを調整して蠕動運動を促進。整腸作用。
2.腸管内の有害細菌の増殖を抑制し、それらが産生するアンモニア・アミン酸・フェノール類などの
有害物質の抑制作用。
3.疾病羅患率の低下。病原感染防御作用。
4.ビタミン類の産生(ビタミンB1・B2・B6・B12・葉酸・ニコチン酸など)と乳児の乳タンパク質の消化
の改善。
ビフィズス菌とは
乳酸菌の一種で、人の腸内にビフィズス菌は代表の5種類(ビフィダム菌・ロングム菌・インファンテスキン・ベレベ菌)があります。幼児にはインファンテス菌とベレベ菌に限られ、幼児から成人は他の3種が多く住み着いている。
ビフィズス菌は発酵することで唐を分解し、酢酸と乳酸を作ります。
それらが大腸菌・赤痢菌・腐敗菌など有害菌の生育を抑制して、有用菌優勢の腸内細菌叢に改善するため、下痢や鼓腸・便秘などを防ぎます。またビフィズス菌は偏嫌気性であり、酸素・酸・湿度に対して弱いのが特徴です。
有害細菌の種類と働き
【種類】
ウェルシュ菌が代表で、クロストリジュウム・大腸菌・ベーネヨラ・ブドウ球菌・プロテウス・緑膿菌など
【働き】
身体の抵抗力が減退したときに病原性を発揮し、種種の臓器に入り込み、感染症・胃腸炎を起こしたりします。主にタンパク質を分解し、腐敗産物、毒素、発がん性物質などの有害物質をつくり、知らない間にガンをはじめ肝臓病、動脈硬化、免疫力の衰退などの疾病の原因になっています。
腸内細菌のよい状態とは
誤った食べ方や加齢により生理機能が衰えると腸内細菌にも影響します。ビフィズス菌が減少し、消滅するのと同時に、有害細菌であるウェルシュ菌やプロテウス菌が増殖してきます。
また、放射線治療・肝硬変・慢性肝炎・ガン・便秘症・風邪・ワクチンの摂取などでも腸内細菌叢が以上になることが分かっています。そしてほとんどの例においてビフィズス菌が減少し、大腸菌・長球菌・ブドウ球菌・ウェルシュ菌などが増加する傾向が見られています。したがって健康であるためには、減少しがちなビフィズス菌などの有益菌を腸内で増やし、ウェルシュ菌や大腸菌・クロストリジウム菌などの有害細菌を減らし、バランスをたもつことが重要なのです。