1.筋肉からの痛み
腰の周囲の筋肉が緊張することで腰痛が起こります。
ぎっくり腰のときは急激に筋肉が緊張することで痛みが起こり、また慢性的な腰痛になると持続的に縮まっている筋肉が短縮してしまい、それを伸ばそうとするとストレッチ痛が起こります。腰を前に屈めたときや、横に倒したときに倒した側と反対が引っ張られるような感覚があるでしょう。
2.関節からの痛み
関節と関節のスペースが一番狭くなるような状態で腰が痛くなる場合。普段は何となく痛みがある気がします。しかし症状の範囲が漠然としているので、どこが痛いかを指差すことは出来ません。
立った状態から上半身を後ろに反らすと、反りきったところで腰が痛くなります。または腰を前屈しきったときに痛くなる場合もあります。その他にも関節からの刺激が、腰以外のお尻や腿の裏に痛みや、痺れ感を広げる場合もあります。
3.靭帯からの痛み
関節を取り巻く靭帯や関節包(かんせつほう)と呼ばれる組織は、筋肉に比べると痛みなどの信号を感じる神経が多く分布しており、痛みにとても敏感です。例えば悪い姿勢をしているとこの靭帯にもたれ掛かった状態を作ってしまい痛みを引き起こしてしまいます。
またこの状態になると「身体に良いはずの運動」が、逆に身体の負担になってしまい運動の後に痛みを招くことがあります。
4.神経への直接的な刺激からの痛み
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)と呼ばれるものが腰痛では代表的です。神経自体を直接圧迫したり、その場所に炎症が起こったりすることで神経を刺激して腰痛や、足先への痺れなどを起こすことがあるといわれています。
5.血行不良による痛み
血液の流れは心臓からのポンプと、筋肉の収縮により主に行われています。硬くなってしまった筋肉は収縮によるポンプの働きが悪くなるだけではなく、その筋肉を通っている血管の通路を狭くしてしまい血行を阻害します。
また血管の伸び縮みを調節している交感神経は筋肉の緊張により働きが強くなります。交感神経の働きが強くなることで、血管が収縮して血管内を通る血液量が低くなり、血行が悪くなります。
筋肉の緊張がおこると・・・
①ポンプの働きを悪くして、血行不良を起こす。
②毛細血管の通り道を狭くして、血行不良を起こす。
③交感神経を刺激して、血管を収縮させてしまい血行不良を起こす。
6.精神的な影響による痛み
精神面が身体の表面の症状を感じさせるケースです。
例えば会社でのストレスが原因の一つになっている場合は、腰痛を会社でしか感じることがない。出勤時の電車の中でしか痛くならない(その時意外電車に乗っても痛くはない)、または会社を出ると症状が楽になるなどです。
また過去のツライ経験や思い出が身体的症状として現れることもあります。以前酷く腰を痛めたことがあり、そのため「自分が腰を動かすと痛みが起こるので動かしたくない。」ずっと痛みが続いていると脳が思い込むパターンなどもあります。しかし無意識のうちに感じていることなので、表面化しにくい腰痛かもしれません。
7.内臓の刺激による痛み
内臓の機能低下(または過剰)や病気などで炎症が起こっている場合、お腹の中に痛みを感じるのではなく背中や、腰に症状を起こすことがあります。
これは内臓関連痛(ないぞうかんれんつう)と呼ばれ、腰痛以外でも肩や首などでも同様のことが起こります。特徴としては「身体を動かしても痛いが、横になって安静にしていても痛みがある。」です。
*癌などの病気であるという分けではありませんが、注意が必要になります。
8.癌などの骨転移による刺激の痛み
「7.」の内臓からの痛みと似ているようですが、7.は感覚神経が混乱してしまって内臓の痛みを腰の痛みと勘違いして起こしているのです。簡単に言うと「お腹の痛みを腰の痛みと勘違いしている」つまり「腰自体には痛みの直接的原因がない」のです。
しかし中年男性に多くみられる前立腺癌は腰椎に転移がしやすいため、この腰骨にガンが転移すると「腰の骨自体に痛みが起こっている」場合があります。特徴としては「7.」と同様身体を動かしても痛いが、横になって安静にしていても痛みがあります。また微熱や倦怠感、体重が減少傾向にある、癌を以前患ったことがあるという方は要注意です。