②日本の伝統的習慣は間違いなのか
「日本人は長い間の生活習慣で、畳の上で正座で通す時間が多いから、欧米人に比べてO脚が多いのだ」
こういう意見を多く耳にします。でもこれだけが原因でしょうか。確かに原因の一部とは考えれますが、「正座がO脚を生む」と一方的に決め付けるのは短絡した考えです。もしそうだとしたら日本人のほとんど全員がO脚になってしまいます。
僧職についている人、柔道、剣道,碁、将棋、お茶、お花、謡曲、歌舞伎、新劇、・・・日本古来の伝統芸能や芸術にたずさわっている人が全員O脚かといったら、そんなことはありません。むしろ少ないくらいです。
では、これはどうした理由に基づくのでしょう。自然体の正しい座りかをしているからです。疲れ知らずの体重負荷のかけ方、O脚にならない座り方を身につけていたからです。
上記の人たちは、まず作法をしこまれています。これは長い歴史の中で培われた、自然体、つまり理にかなった身体の動きが含まれています。美しく見える行動は、最も自然に、流れるように動くということです。
この「作法」は当然「美しいもの」として万人に認められ、それはそのまま一般家庭に浸透していきました。それが家庭で、親から子、子から孫へ「躾」が継承されていきました。しつけとは文字どうり身が美しいと書きます。O脚であるはずがありません。
ところが近年、核家族化と急激な欧米化によって、この作法もなくなりつつあります。
「正座」も捻じ曲げられ、現代社会では正座といえない横座り(両足を横に流した座り方)
や、ペチャンコ座り(股間を床につける座り方)これらがO脚を助長することになっています。
では、どうすればよいか。具体的に言えば「膝、足首を歪めないこと」。股関節、大腿骨を外側へ押し出さないこと。お尻を無理に外へ突き出して、坐骨や仙腸関節を開かせないこと。背中を丸めないこと。無理に背中を立てる必要はありません。自然にゆったり伸ばせばよいのです。
それから腰を落として歩かないこと。座ったときも腰を歪めないこと。これを続けると骨盤にゆがみを与え、O脚はもちろん、腰痛の原因を作り出してしまいます。
つづく・・・